Bitcoin と Ripple に見る 暗号通貨の戦略

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2016年6月26日

先日投稿したスマートコントラクト&DAOのシステム戦略に関する記事がご好評を頂けたので、今回は引き続き戦略をテーマに考えます。今回は夢のある話ですよ(笑)戦略

本日のテーマは、ずばり「Bitcoin と Ripple に見る暗号通貨の戦略」です。

昨今、ブロックチェーン関連技術の実証実験が多岐に渡っていますが、現実社会での利用シーンが明確になってきたら、次の段階では「実現性のある戦略」が普及と成功の鍵になります。

各プラットフォームの戦略とその目標とはどのようなものか。今日はこれらについて 始祖Bitcoin と 異端児Ripple を題材に考察しようと思います。

 

今回のテーマ :BTCとXRP それぞれの戦略と目標とは?

bitcoin and ripple

  1BTC = 10万ドル ?  1XRP = 1ドル ?  

 

ビットコインの戦略

それでは、まずはビットコインについて考えていきましょう。
基礎から知りたい方は、TrendStreamさんという方の記事がわかりやすいので、チェックしてください。

3分でわかるビットコインの基本(TrendStream) 

ビットコインは「中央機関や仲介人を必要としない、ユーザーによるユーザーのためのユーザーの通貨」だと言われています。これは大事なポイントです。「ユーザーの」通貨という考えがビットコインの中核的価値観だとすると、戦略テーマはおのずとこれに沿ったものになってくるはずです。

もうひとつ、ビットコインはユーザーの「通貨」であることもポイントです。例えば、イーサリアムは、ブロックチェーン上でチューリング完全なプログラムを組むことが可能な、分散型コンピュータシステムです。また、リップルはゲートウェイと分散元帳の組み合わせによってあらゆるものの価値を交換することが可能な決済システムです。これらに比べると、ビットコインは通貨の機能を持ったシンプルで堅牢なシステムです

※ ビットコインを拡張する派生プラットフォームについては今回の考察の対象から外します。

 

以上のような意味で、ビットコインは「ユーザーの通貨」なのです。

これから、その「ユーザーの通貨」の戦略について見ていきますが、その前に一度、頭の準備体操をしましょう。

通貨とは、支払い手段として機能している貨幣のことですが、その戦略を考える上でポイントとなることは何なのでしょうか?

 

貨幣とは?

一般に、貨幣には次の3つの機能があると言われています。

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  1.  価値の尺度
     モノの価値(値段)を表す 

  2.  決済の手段
     モノとモノを交換する触媒となる

  3.  価値貯蔵の手段
     将来利用できる価値を蓄える 

参考文献:金融大学

ビットコインの戦略テーマ

上記の貨幣の機能に沿って、ビットコインの特徴と戦略テーマ(案)をまとめました。

機能 ビットコインの特徴 ビットコインの戦略テーマ(案)
 1. 価値の尺度  暗号通貨の基軸通貨  暗号通貨の基軸通貨であり続ける
 2. 決済の手段  安い送金手数料  決済市場のシェア獲得
 3. 価値貯蔵手段  金融資産としての安全性  金融資産市場のシェア獲得

 

  1. 価値の尺度 = 暗号通貨の基軸通貨
    アルトコインの交換はビットコインを介して行われています。この立場を守り続けることは、The Blockchainたるビットコインのお仕事です。
    しかし、このチャンピオンの座の防衛は、必ずしも未来永劫約束されたものではありません。ビットコイン以外にもイーサリアムのETHのように注目を集めるトークンが出てきており、今後も増える可能性があります。
    そのような中でチャンピオンの座を守るためには、ビットコイン自身の付加価値を高める必要があります。そこで、以下の2. 3.の機能の強化がポイントになります。

  2. 決済手段 = 安い送金手数料
    ビットコインの送金手数料は通常10円以下です。一方で、銀行間送金の場合は、百円から数百円、海外送金では数千円することが一般的で、法定通貨の送金に比べるとビットコインには価格優位性があります。
    一方で、暗号通貨の世界で比べると、ビットコインに価格優位性はありません。
    また、送金決済にかかる所要時間についても、リップルやプライベートチェーンのmijin(ミジン)など、他の暗号通貨で優位性が実証されているものがあり、ビットコインは決してナンバーワンではありません。

    ビットコインは、このような状況の中で、決済市場のシェアをどの程度まで獲得できるのか。
    これがひとつの戦略目標のポイントです。

  3. 価値貯蔵手段 = 金融資産としての安全性
    ビットコインは金(ゴールド)に似た性質があるとも言われます。有限、現物の金融資産として見た場合、ビットコインは、2009年の稼働開始以来、システムの信頼性を棄損するような重大な事故や問題が発生したことは一度もなく、信頼できるシステムの上に存在していると言えます。(有名なMt.Gox事件は取引所のシステムに関する人為的な事件なので、ピュアなビットコインシステムの問題ではありませんでした)
    ビットコインが、どの暗号通貨よりも長い間システムの信頼性を維持していることは、セールスポイントと言えます。また、ビットコインには主体者がおらずシステム運営が世界に分散されているため、従来の意味での地政学的リスクを抱えることがなく、システムの永続性の面で加点要素となり得ます。

    このような特徴を武器に、ビットコインが金融資産市場のシェアをどの程度獲得できるか。
    これが戦略目標のもうひとつのポイントです。

 

以上、貨幣の機能に沿って、ビットコインの特徴と戦略テーマ(案)を眺めてきました。

ここで、再びビットコインの基本理念に立ち返りましょう。ビットコインは「中央機関や仲介人を必要としない、ユーザーによるユーザーのためのユーザーの通貨」です。この理念に前述の戦略テーマを重ねると、こうなります。

 

ビットコインの基本戦略(案)

ビットコインは、中央機関や仲介人を必要としない「決済市場」と「金融資産市場」をユーザー  のために創出する。この市場の隆盛と共に、ビットコインのニーズが広がり、ビットコインの価格は上昇し、ユーザーはその恩恵をあずかることが出来る。

※ ユーザー = 全てのビットコイン保有者

 

あくまで私案ではありますが、ビットコインの基本戦略が見えてきました。

さて、次に気になるのは、この戦略が功を奏した時にもたらされる結果、利益の大きさです。世に公表されている統計データをもとに、簡単なシミュレーションを行ってみましょう。

 

決算市場におけるビットコインの戦略目標

決算市場におけるビットコインの競合相手は、アルトコインではありません。法定通貨です。

2015年10月の記事「人民元、円を抜いて世界4位の国際通貨に–8月、通貨別決済シェアで2.79%(マイナビニュース)」によると、世界の決済シェアは次の通りです。

  • 1位 米ドル 40%
  • 2位 ユーロ 30%
  • 3位 英ポンド 9%

 

3通貨で全体の80%近くを占めています。(実は欧米による寡占状態…)

2016年6月現在、何かと話題のポンドは、シェア約10%です。これを感覚値として覚えておいてください。
世界の第3位のシェアは10%です。

次に、ビットコインが攻めるべきマーケットはどの市場か、という点ですが、ビットコインが最も得意とするであろうマイクロペイメント市場だけでは市場規模が小さいので、守備範囲を広げて、個人消費市場全体にしましょう。

少し古いデータですが、2013年の世界の最終家計消費支出(個人企業の支出を除いた家計消費)の年間総額は、43兆ドルです。

参考文献:World – Household final consumption expenditure (IndexMundi)

 

ここで、単純化した世界(ユーザーが毎日決済を行い、ビットコインを貯め込まない世界)をモデルとして、ビットコインが個人消費市場で一定のシェアを獲得した場合の、ビットコイン価格を試算します。

 

  • 最終家計消費支出の年間総額43兆ドルを、365日で割って1日あたりに換算すると、1,180億ドル
  • 世界の1日の家庭支出の総額1,180億ドルのうち、10%のシェアをビットコインが獲得した場合の1ビットコインの価格

 

 1180億ドル(世界の1日の家庭支出) × 10%(獲得シェア) ÷ 2,100万(発行総量) = 563 ドル

 

世界の1日の家庭支出の総額の10%をビットコインで賄おうとしたら、少なくとも1ビットコイン = 563ドル以上でないと経済が回らないということが見えてきました。さらに、人々はお金をお財布に入れたまま何日も寝かせることが多いので、供給量が減少し、ビットコイン価格は上記の価格よりも上昇する可能性があります。

供給量が少ない現在の発行量(1,570万)で上記の試算をすると750ドルほどになります。偶然にも最近のマーケットで見かけた価格帯ですね。現在のマーケット参加者は「ビットコインは個人消費市場の決済シェア10%を獲得する潜在能力がある」と感じていると言えなくもないところです。(こじつけ感が拭えないですが…汗)

ただ、このマーケットは、競合がひしめくレッドオーシャンなので、そもそも10%のシェアの獲得は容易ではないと思います。つまり、この市場一択で攻めるのは得策ではないということです。

 

金融資産市場におけるビットコインの戦略目標

続いて、金融資産市場の戦略について見てみましょう。

2016年6月の記事「世界の個人金融資産、20年に224兆ドル 米民間調査 (日経新聞)」によると、2015年の個人金融資産(現金、株式、債券等)は168兆ドルです。このうち、現金資産は全体の25%程度の42兆ドルほどと見立てます。(世界の先進国の現金資産は平均2-3割と言われているので)

仮に、世界の現金資産のシェアの10%を暗号通貨が獲得したとして、そのうちの50%を暗号通貨の基軸通貨であるビットコインが獲得したら、1ビットコインはいくらになるでしょうか。

答えは10万ドルです。

もう一度言います。10万ドルです…

 

42兆ドル(個人現金総額) × 10%(暗号通貨シェア) × 50%(BTC比率) ÷ 2,100万(発行総量)= 10万ドル

 

現金資産に占める暗号通貨のシェアが1%だとしても、 1ビットコイン = 1万ドル になる計算です。

個人決済市場で10%のシェアを取るより、個人現金資産市場の方がリターンが大きい…
机上の空論でしかないのですが。

リターンを最優先に考えるならば、決済市場のシェア獲得よりも、金融資産としての価値を高めることの方が重要なテーマだと言えます。

ビットコインがこのようなスタンスに立つとしたら、それは例えるならば、やはり金(ゴールド)です。金(ゴールド)は、まず、金融資産としての価値があり、さらに宝飾品としての価値もあります。同じように、ビットコインもまず現金資産としての価値があり、さらに決済通貨としての価値もある、と考えるということです。

要は、お買い物ができる金(ゴールド)です。 注)マイクロペイメントもできます というスタンス。

この戦略においては、チャネルを強化することがまず重要です。ユーザーが銀行を選択する理由で最も多いのは「近くに店舗があるから」であることが、各種のアンケートの結果で知られています。このことを鑑みると、既存の取引所のレベルアップ(認知度、安全性、ユーザビリティの向上)だけにとどまらず、銀行や証券会社などの既存の金融チャネルを通してユーザーがビットコインを購入できることが、普及に向けて重要な要素になると考えます。

チャネルを増やすために、米シカゴマーカンタイル取引所や日本の大阪取引所などといったメジャーな金融商品マーケットにデリバティブ商品を上場するといったようなことも、大きな援護射撃になると考えます。

 

ビットコインとブランド戦略

また、ビットコインを多くの人に保有してもらうためには「保有したい」と思わせるブランドであることも重要です。ビットコインは、ギークでアングラで個人主義的なイメージがあると思いますが、その価値観だけではユーザーの裾野が広がりません。懐を広げて、ビットコイン2.0(アルトコインのことではない)として、ブランドを強化しようという、そういうディスカッションがさらに活発化することが望ましいのではないかと考えます。

ブランド戦略という企業の手法を分散型の暗号通貨に適用することには、多少なり違和感があるかもしれません。しかし、前述の「ビットコインは、中央機関や仲介人を必要としない「決済市場」と「金融資産市場」をユーザーのために創出する。この市場の隆盛と共に、ビットコインのニーズが広がり、ビットコインの価格は上昇し、ユーザーはその恩恵をあずかることが出来る」という考え方は、貪欲にブランド戦略を欲しがっているようにさえ見えます。

 

黄金のブランドを築く

これまでの論を辿ると、「金融資産市場でのシェア獲得を第一に、決済市場における長期的で安定的な成長」を推し進めることが、ビットコインにとって有望な戦略であるという結論になります。

システムが堅牢でイミュータブルであること、それが6年の実績で証明されていること。この「信頼性」に加えて「ユーザーのための」ブランド力を高めて、一般投資家が欲しがる金(ゴールド)のような存在になること。これが優先事項であると考えます。

 

 

リップルの戦略

続いて、異端児リップルに参ります。

リップルは、ある意味でビットコインと対照的な存在なのですが、その説明に入る前に、リップルをご存知ではない方も少なからずいると思いますので、簡単に紹介します。以下の紹介文が、横文字と英単語だらけで分かりにくいのはご了承ください…

リップルは、暗号通貨プラットフォームの名称であり、事業会社の名称でもあります。事業会社としてのリップルは、クロスカレンシー送金に利用するブリッジ暗号通貨のXRPと、その台帳プラットフォームであるRipple Consensus Ledger(以降、RCLと呼ぶ)の開発を行っています。リップルには研究部門のRipple Labsがあり、彼らはW3Cと共に、台帳接続プロトコルであるInterledger Protcolを開発しています。

RippleとXRPに関するさらに詳しい情報は、「RippleのXRPはIoVに必要なのか」を参考にしてください。

 

リップルは前述の通り事業会社なので、自社のビジョンと戦略を掲げ、組織的にそれを実行しています。ビットコインの祖である「ナカモトサトシ」が誰なのかわからないことに比べると、組織ヒエラルキーを持つ事業会社が中核の座にいる点は、ビットコインコミュニティと大きく異なります。

リップルは、Internet of Value(価値のインターネット、以降IoVと呼ぶ)の実現をビジョンに掲げており、このような壮大な目標を掲げている点もリップルの特徴です。そのリップルの事業は、いかにも戦略的に進められています。ポーターの競争優位戦略をベースに検証すると、そのことが良くわかります。

 

リップルのサービス戦略

ポーターの競争優位戦略とは、1985年にマイケル・E・ポーターが提唱した競争優位を創出するための戦略のことです。経営戦略の古典の一つと言っても良いかもしれません。
この競争優位戦略によれば、競争優位を創出するための戦略は3つに大別出来ます。

サービス戦略 特徴
 1. コスト・リーダーシップ戦略  競争相手よりコストを下げる
 2. 差別化戦略  競争相手以上の付加価値を提供する
 3. 集中戦略  競争範囲を自分が勝てる範囲に狭め、低コスト化または
 差別化を図る

 

それでは、問題です。リップルの戦略は、3つの戦略のうち、どれに当てはまるでしょうか。

 

強調表示しているのでほとんどクイズになっていませんが、正解は 3. 集中戦略 です。

 

続いて、リップルの集中戦略について、中身を見てみましょう。

リップルは、ターゲットとするサービスとマーケットを、国際送金市場に絞り、自社の顧客を銀行に絞りました。そして「低コスト」と「差別化」の二つを同時に具備する商品を用意しました。下表にその内容をまとめます。

集中戦略の構成要素 リップルの施策
 サービスとマーケットの限定  ユースケースを国際送金に限定
 (社会的に課題がある領域にターゲットを設定)
 顧客の限定  銀行の要望に応えることに専念
 (ヒアリングにヒアリングを重ねた)
 低コスト  送金手数料は0.1円未満と極めて安価に設定
 APIサービスの開発により銀行の導入コストを大きく低減
 差別化  1回の決済にかかる時間は数秒と極めて速い
 KYCを備えたAPIサービス RippleConnect の開発

 

 

人材・提携戦略

リップルはさらに加えて、人材・提携戦略についても、抜かりが有りません。

サンタンデール銀行やCGIといった金融やIT業界のトッププレイヤーと提携するだけに留まらず、数多くの人材を自陣営に招き入れ、SWIFTやR3CEVといった強力な組織、コンソーシアムとも手を組み始めています。これらの外部組織と協力関係にあることで、マーケット開拓の進みやすさは、それがない場合に比べて、各段に向上していることが想像されます。

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規制当局との協力体制

そして、2016年6月には、米国ニューヨーク州金融サービス局が扱う仮想通貨取り扱いライセンスである「機関投資家向けビットライセンス」を取得するという形で、暗号通貨の法的な課題を他のプラットフォームに先駆けて解決し始めています。個人的にはこのニュースには驚きました。想像していたよりも半年以上早い動きでした。

 

ここまでの説明で、リップルが極めて戦略的な組織であるということが、ある程度は伝わったかと思います。

 

戦略的なのは良いのですが…

ここまで、リップルの戦略を褒めちぎりましたが(笑)、しかし、です。現在のリップルのビジネスは対銀行に絞られたビジネスであり、個人の投資家や企業家が参加しようとしても、非常に参加しにくいのが実情です。

また、日本では、XRPやIOUを高値で個人投資家に売りつけて損失を被らせる業者が2014年頃から少なからず出てきたこともあり、日本の暗号通貨投資家の間におけるXRPの印象は悪くなりました。さらに、2015年の後半からは、リップル自身が追い打ちをかけるように、個人投資家向けのサービスを停止していったため、個人投資家に強い不信感を抱かせたのも事実です。ビジネス的には所謂「選択と集中」だったのでしょうけれど、リップルはビジネスの状況次第で「ユーザーを裏切るのではないか」という疑念を、個人投資家に抱かせているのです。

こうしてみると、ビットコインが「ユーザーの通貨」であるのに対して、リップルは良くも悪くも「戦略的ビジネスサービス」の色合いが濃いことがわかります。

私個人の視点で言えば、リップルは、世界の先端でIoVの実現を推進する突出した企業であり、そのプラットフォームでもあるので、私自身は蚊帳の外の外野席ですが、それはさておき注目しています。

それでは、かくいう「戦略的ビジネスサービス」の目標値とはどのようなものなのか、見ていきましょう。

 

リップルの戦略目標

リップルの戦略が国際送金にフォーカスにしていることは、自社のホームページにも記載されています。

参考文献:クロスカレンシー決済(リップル)

リップルは、国際送金システムの構築と、XRP価格の上昇によって利益を得ようとしていると、コア・アーキテクトのデイビッド シュワルツさんがオンラインコミュニティで発言しています。

 

David

 

国際送金システムの構築

この国際送金システムの構築は、Ripple Connectと呼ばれるリップル社のAPI製品を中心に行われると公式にアナウンスされています。2016年6月に米銀のATBフィナンシャルが発表した国際送金のケースでは、たった9日間で小さな開発チームがシステムリリースまでこぎつけた、と言われています。リップルはこのニュースを公式には発表していませんが、2016年6月16日頃からこれらのニュースがオンラインコミュニティのXRPチャットやツイッターなどで話題になり、これに前後してXRP価格が上昇する形で市場も反応しました。

リップルが、顧客が比較的システムを導入しやすいAPI接続方式を採用してることは既知の事実でしたが、新規顧客がたったの9日間で、しかも小さなチームだけで実現できるレベルにRipple Connectを仕上げているということは、他の暗号通貨やスマートコントラクトプラットフォームの事業者にとっても、大いに参考になるのではないでしょうか。

 

XRPの価格上昇

ところで、暗号通貨マーケットのユーザーの視点では、XRPの価格上昇の目安はどのくらいのものなのか、気になるものです。これに関しては、国際送金市場の統計データをもとに試算してみましょう。

国際送金市場と言っても、個人の送金と企業による送金の二種類があります。今回は、より市場規模の大きな企業の国際送金、つまり貿易の決済市場を対象にします。2015年の国連の統計データによると、世界の貿易輸入額は16兆ドルです。

 

16兆ドルの市場に参入した際の前提条件は、次の通りとします。

  • RCLネットワークが、貿易における国際送金市場の10%のシェアを獲得している。
  • 貿易を行う企業は、1~2か月分の貿易運転資金を銀行に預託している。
  • 銀行(またはマーケットメーカー)は貿易顧客の預託資金の50%相当を、XRPで保有する。
  • 1年間の営業日は250日とする。

 

この場合、XRPの価格は 1.32 ドル になります。

16兆ドル(世界の輸入額) × 10%(RCLシェア) × 50%(XRP比率) ÷ 250(営業日数) × 40 (預託資金2か月) = 1.32 ドル

 

2016年6月現在、概ね0.06ドルで推移しているので、200倍程に当たります。

RCLに接続されたシステムは世界で30と公式に発表されていますが、今回の試算のような形でXRP資産を保有している顧客の存在は、現在のところ発表されていません。この状況から考えられる顧客のシナリオは、XRPを資産として保有しない形でまず限定的にRCLを利用し、その後、財務戦略(≒コスト削減)と連動してXRPの運用を検討し、やがて現金運用にXRPを組み込むと考えるのが自然です。リップルのCEOクリス・ラーセンさんも、銀行はいずれXRPを保持するようになると期待している、と折々のインタビューで述べています。

そう考えると、銀行がRCLシステムを導入してから、1-2年が経過すると、XRPの運用が始まっても良いころだと思われます。 つまり、銀行のRCL導入から遅れること1-2年程度で、XRPが価格上昇フェーズに入るというのが、この戦略のざっくりとした目安になります。(これらのシナリオは、リップルが公表している情報をもとに、私が勝手に作ったものです)

 

XRPの発行総量が1,000億であることは、世界のB2B決済市場で一定のシェアを獲得した時に、世界の基軸通貨である米ドルとパリティ(1:1の価格)になることを想定して設定されているのだろうと推測しています。

 

最後に

今回は、ビットコインとリップルの戦略目標について考察してきましたが、それぞれが別々の分野で大きな利益を産みだす可能性があることが改めてわかりました。今回は、これらの戦略の実現性についてはあまり触れませんでしたが、また時間を作って実現性についても考察したいと思います。

 ※ それぞれの戦略が目標を達成できない可能性もあるので、投資は自己責任でお願いします。